悩める成年剣士への提言
平成12年10月
途在剣道居士
始めに
成人から剣道を始めた人は、運動能力の低下、練習時間の不足等で上達が遅い.このため、姿勢や打突動作に不器用さが残り、打突スピードが遅い割に、打たれれば骨身に応えるほど痛い.そして、体勢が右側に反れての移動になり打突後の送り足動作がぎこちない.
本助言書は、このような好ましくない挙動の原因を解明し、合理的な体の運用法を提供しようとするものである.また、適切な稽古の方法についても記述する.本書が悩める成年剣士の上達に役立てば幸いである.
§1スムーズな体の運用
1.修練を積んでも熟練できない背景
結論的には手足の運用が理に反しているからで、「早く打とう」、「早く打つために、早く足を出そう」とする意識が体のバランスを崩す動作をさせているからである.バランスを崩す不適切な動作を次の例での体験してみよう.
1)右利きの人の投球;右手の投球動作開始後に、左足、または、右足を出してみる.(通常は左足を出しながらの右手の投球動作になる)
2)振りかぶっての投球;グラブを先に左手で持ち上げながら左足または右足を出してみる(通常は左手で持ち上げるので、先に右足を出している)
3)歩行動作;片側の手と足を揃えて歩いてみる.
剣道の場合、剣捌きや足捌きが円滑に行なえないのは、両手握り、右足前配置といった通常ではあり得ない特異な運動形態に起因し、無意識にバランスをとるための四肢の学習蓄積がないからである.従って円滑動作の体得には、合理的な四肢の動作メカニズムに基づいた繰り返しの基礎練習が必要になる.
2.非熟練者の打突動作観察
1)まず早く打とうとするあまり利き腕の右手に力が入り、右手の肘、肩の関節中心に竹刀が回転、上昇する.
2)その後に右足が出るのでバランスが崩れ、右寄りの前掛り姿勢になる.
3)打突時も右手握り締めで振り下ろすので、刃筋が斜め右上からの打突になる.(右手支点、左手作用点)
4)打突のみに全神経が集中しているので打突後の瞬間脱力ができない結果、相手への打突接触時間が長くなって打突の仕事量(力×押圧時間)が多くなり、相手に鈍重な痛みを与えることになる.
5)打突開始時から右手に力が入っているので、左足の瞬敏な引き付けができずに左足が残って足が止まる.すなわち、打ちっぱなし当てっぱなしの崩れた姿勢になる.
3.「手で打つのでなく、足で打つ!」を意識し過ぎる非熟練者の打突動作観察
1)右足を先に出し右手を使って竹刀を持ち上げるので、体が右上がりになって上半身が後方に反る.
2)体が反った状態から右手で振り下ろす打突動作になるので、上体、頭部が前方へ大きく揺れ、また、右足は浮き上がった状態から「カタン」と着地する.
3)足の運用に注力しているので打ちが疎かになり、打突力が弱い.また、踏み込み歩幅が広いので、打突後の送り足は前掛りの後足を引きずった格好になる.
4.打突動作を円滑にするには
1)打突には、構えた位置から打突が届く位置まで体を前進させる必要がある.この体移動をバランス良く行なうためには、左手元を前に突き出しながら右足を出す.この突き出し量が大きいほど右足が大きく出る.(手元をグーとではなく、腰を入れてスーと突き出す.)
※「足を先に出す」か、「打突動作だから手を先に出す」かはほぼ同時の動作であるから、踏み切りが自然に行なえる方の自分に適した方を選べばよい.
2)左手元を突き出しながら、今度は剣先が最大の円弧を描くように、両肩を回転中心にして竹刀を左肘中心に肘で持ち上げる.最適な打突の振り上げ高さになったら一挙に振り下ろし動作に入る.今度も剣先が最大の円弧を描くように振り下ろす.このとき、右拳は竹刀を握り締めないで、親指の付け根を内側に絞り込む.
※「最適な振り上げ高さ」については諸説あるが、最高高さは日本剣道形の位置(左拳は額の前、竹刀角度は後方45度)で、それを超えることはムダな動きである.最低は左手拳が胸の高さ程度で、それ以下では非熟練者の技量では弱い刺し面になり、打突に威力が発揮できない.
3)打突直前に、左手は左手首を最高に回転させてスナップを利かせると共に、右手は右親指の付け根を竹刀の内側に瞬間的に絞り込む.いわゆる「茶巾絞り」を行う.(左手支点、右手作用点)
4)この右手の絞り込みにより、左足引き付けの条件が整えられ左足引き付けが容易に行なえる.このため打突は手足が一体となり、姿勢が崩れない左腰が入った鋭いものになる.
5)打突直後に、両手の握りを瞬間脱力させて次打突への動作に備える.この瞬間脱力により、手元が若干上方へ持ち上がり左手拳が相手の顎の位置になって、体当りに格好な姿勢になる.
以上のような竹刀操作を行うと、剣先の動きはより長い回転半径での振り上げ振り下ろしになる.この結果、竹刀先端はより早い速度の動きになる(周速度=回転半径×回転角速度).従って相手には早い、鋭い打突動作に感じられるのである.加えて、衝撃力は「速度の2乗」に比例するので、「強く打とう」と力まなくとも竹刀先端の速度が早いので、強く鋭い衝撃力が生じることになる.また、打突瞬間に脱力されるので、打突の仕事量(力×時間の和)は衝撃力の割には少ない.このため、被打突者は「カン」といった、鋭いが心地よい被打撃感を受けるのである.
5.打突後の縁切り連続送り足を円滑にするには
左足を引き付けての連続送り足であるから、右手の作用があれば容易になる.このため、打突直後の両手脱力後に、再度右親指の付け根を竹刀の内側にグググーと断続的に絞り込むように意識して足送りをすれば、小幅で早い送り足ができる.
さらに、この動作には次の効果が得られる.
1)姿勢を崩さないで真直ぐに直進ができる
2)“打ち切った”という満足感が味わえる
3)正しい残心行為につながる
以上を総括すると、円滑動作の基本は体バランスであり、そのためには「体バランス作りに四肢をどのような順序で動かすか」が重要である.体バランスが崩れれば姿勢が崩れ動作も遅くなり、また、打突が正確さを欠くことになる.
従って、打ちを焦らずに正しい体の運用を心掛けることが上達の早道である.このポイントを要約すると、
「右足を出したかったら、左手を先に出す」
「左足を素早く引き付けたかったら、右手を素早く働かせる」
さらに、このための高度なテクニックを付記すれば、腹筋を利用して体バランスを得る方法がある.その要領は、
「右足を出したかったら、左側の腹筋に力を入れる」
「左足を素早く引き付けたかったら、右側の腹筋に力を入れる」
この方法は、竹刀を殺して攻め入る時の微少前進にも効果がある.瞬時の微少前進には、左右の腹筋を“ヒダリ、ミギ!、ヒダリ、ミギ!”と瞬間的に交互に作用させればよく、次の効果が得られる.
※ 不動姿勢での瞬間体移動なので、起こりを察知されにくい.
※ 不意の瞬時動作で相手に「驚」を与え、打突の機会を得る.
他の効用として、動作の指令は「脳 → 腹筋 → 四肢筋」とリレーされるので、常に意識の中心を腹筋に位置付けることにより、四肢筋には余分な緊張が無くなって自然体での体移動とスムーズな打突動作が可能になる.
§2 構えについて
円滑所作には、力まないで「歩くが如く、走るが如く、投げるが如く」が基本的な要件である.なぜなら「歩、走、投」の動作メカニズムは、生来からの日常的な体験学習によって最も合理的かつ無理無駄のないように構築されてきているからである.剣道においても先ず合理的な構えを心掛けなければならない.以下、構え方について述べる.
1.足の構え
1)緩やかな歩行状態で、右足着地後左足を踏み出そうとする瞬間で止める.
2)この状態から、自分にとって攻守に最適な安定した姿勢になる位置まで左足を調整する.このようにすると、自然な状態なので前掛りや後反りの姿勢にはならない.
3)この時の足の踵は、右踵は紙一重で浮き、左足踵は体の前方移動に必要な無理のない踏み切り直前の格好になる.
※一般的には「前足の踵と後足の爪先を横同一線上にさせ、足一つ、または、一つ半の隙を開け両足を前向きに平行に位置させる」となっている.この状態は先ほどの安定した足の位置になるが、多少は個人差があるので自分の足の納まりがよいところで構える.
2.手の握り
1)竹刀は両手小指薬指で握る.他の指は竹刀を片手で回転させるのに程よい隙を開けて軽く添える.この隙は手の内の絞りや胴打ち、左右面打ち等の俊敏な正しい動作時に必要であり、感覚的には傘をさした時の握りの要領でよい.
2)握りは、心持ち左手中心にして、右手は添える心地で握る.握りの強さは、肩の力を抜き、竹刀をスーと軽く引っぱられた時に抜けるか抜けないか程度にする.
※
親指と人差し指の間が竹刀の峯に沿うように、親指の付け根を内側に入れ込む.
※ このように、親指人差し指の間が峯に沿うように握ると、竹刀は体中心を通って振り上がり、振り上げの最大位置では竹刀は後方45度の理想の位置で自然に止まるようになる.従って、竹刀の斜め振れや不必要な振りかぶりを防止できる.
3.手元の位置
竹刀を大きく振り上げた状態から円を描くように緩やかに振り下ろし、竹刀を保持するのに最も自然な手の位置を覚える.この位置を手元の位置とすればよい.一般的には、左親指の第一関節が臍の一握り前の位置.
4.剣先の位置
剣先の延長線を、相手の喉、または、目と目の間、または、左目に付ける.状況に応じて、選択する.
5.左脇の状態
左手は打突動作の中心的利き腕であり、左親指の付け根を内側に入れ込んだ状態で常に体中心上に位置させなければならない.従って、左脇は自然と若干締められた状態になる.この状態は、打突時の左手の回転運動にとって無駄な遊びが無く、早い打突動作が可能になる.
※逆に、左親指の付け根を内側に入れ込まないで左脇を緩めた状態では、竹刀が斜めの上下動になり、また、右手打ちを誘発させ、好ましくない打突動作になりがちである.
6.右脇の状態
ほどよい自然の余裕をとる.
※右手も親指の付け根を内側に入れ込む必要があるが、左手より前方に位置するため右手首は左手首ほどの負担はなく、余裕がとりやすい.右脇を締めると、腕の余裕が無くなり「懐の深さ」が生れない.このため、右脇の余裕が必要になる.
§3 打突時の刃筋
打突は刀で切る動作であるから、カミソリや包丁で物を切るように、刃が打突部に対して垂直に当たらなければならない.これが正しい刃筋である.斜めの刃筋は、切れが悪くまた刀身が折れたりするので昔から戒められている.また、斜めの振り上げ振り下ろし動作では、相手に竹刀の長さを悟られ本能的に防御される点からも好ましくない.
従って、竹刀の握りは親指,人差し指の間が峯に沿うように、親指の付け根を内側に入れ込んで握らなければならない.そうすると正しい刃筋になる.
§4 稽 古
1.掛り稽古
掛り稽古は、打突の好機に際して俊敏な打突動作が行なえるように、無駄な力を抜き手足の運用を良くするための練習法である.従って、空いている隙の部位を間断なく、正確に、早く打つことを心掛けねばならない.このため、打突動作はなるべく小さくする(差し面程度).
2.打ち込み稽古(基本稽古)
掛り稽古は連続の早打ちであるから、姿勢、剣捌き、足捌きがどうしても乱れる.この矯正のために行なう練習法が打ち込み稽古である.従って、この稽古は実際の立ち合いを想定した打突動作でなければならない.隙があれば、隙を鋭く打つ.隙がなければ、攻めて中心を取って打つことが重要である.
練習の要領は、
1)間合は遠間
2)隙を突いて、または、剣を殺して打突の好機をつくる.この時、一足一刀の間まで腰(腹)で前進し左足を素早く引き付ける.
3)打突は、腕の力を抜き一拍子で行う.
4)打突後の振り返り位置は、連続して打突ができるように遠間、または、一足一刀の間で行う.
※ 元立ちは時折若干の隙を作ってやり、そこを鋭く打たせる.
※ 縁を切った遠い位置からの振り返りは、行なわないほうがよい.
§5 試合稽古時の留意事項
1.開始時の構え
試合の「始め!」は戦闘開始の宣言であり、この時点から戦いが始まるのであるから、相手を注意深く観察しながら、しっかりした構えを保って蹲踞状態からゆっくりと立ち上がる.立ち上がったらすかさず右足を心持ち出し、左足を引き付けて構える.
※立ち上がり後に、左足を退いて、下がって構えることは絶対にしてはならない.「下がる」ことは「気が退いた、気分が充実していない」ことの顕れであり、戦わずして負けたことになる.むしろ気分的にグーと半歩出て、「攻める」気で構える.
※“「始め」の合図とともに、飛び込まれて打たれた!相手は卑怯だ!”、と相手を非難するのは筋違いである.自分に隙があったためであるから、自分の隙を恥じなければならない.この点からも、立ち合い時の気構え、身構えは重要である.
2.掛け声
立ち上がり後の構えができたら、一呼吸を置いてその位置、その姿勢で、「腹の底」からの鋭い大きな声を出し気力を充実させる.
※ 掛け声は、大声を出すことが目的でなく、発声によって自分の戦意を高めるとともに、相手に威圧感を与えるための手段である.従って、大声を出すための、顎を前に突き出しての発声法は、自分の構えを崩すばかりでなく相手に未熟者、下位の者と蔑視され、相手に「リラックスした心の余裕」、「高い気位」を与える結果になって逆効果であるから、厳に慎まなければならない.
3.間合への接近
掛け声が終わったら、攻める気持ちで相手を注意深く観察しながら、遠間までゆっくりと間を詰める.スススーと急いで進んではならない.何故なら、自分が殺されるかもしれない「死の間合」へ、急速に進めものではないからである.
4.間合での攻防
1)遠間の状態で、構えを崩さずに相手の出方を十分に観察する.
2)相手の動きが無かったら、時折裏に表にと軽く鎬を削って相手の竹刀と接触を試みる.この時、左手は絶対に中心から外さず常に定位置とし、右手でのみ竹刀を揺動する.
3)「攻めの気」を緩めないで、相手の隙や打とうとする「色」を注意深く観察しながら、一旦相手の隙、出端が観えたら鋭く打突できるように、気持ちを十分に「溜め」る.
4)相手の攻めが強くて打突されそうになったら、または、不意に打突してきたら、体、手を前に出しながら、鎬で中心を取って相手の竹刀を萎し打突する.萎しが間に合わなかったら、胸、または、喉に剣先を付ける.
※間合に入ってからは以上のような緊迫状態にあるから、掛け声は基本的には慎まなければならない.何故なら、掛け声が自分の隙を作ることになりかねないからである.この隙の発生は発声後の吸気時にあり、吸気状態では筋肉が弛緩して俊敏な動作ができなくなるので、打突の好機として狙われやすい.従って、掛け声は剣先の縁が切れた状態で行なうことが好ましい.
5.打 突
1)打突の積極的な好機作りには、「気、剣、技(業)」を殺す「三殺法」を基本とする.
2)打突時、打突直後も絶対に目を離してはならない.こうすると、顎が上がらず相手に向かって真直ぐに突進できる.
3)面打ちは、押切りではなく顎まで引き切るように振り下ろす.押切りでは、腰が残り前掛りになって崩れた姿勢かつ惰性での前進になる.
4)打突瞬間の踏み込み右足は、ポンと伸び上がるようにする.こうすると、左足の引き付けも早くなり、姿勢が崩れず見た目にも美しい動作になる.
6.元立ち
下位者を打ち負かすのみでなく、下位者の技を引き出すことも常に心掛ける.相手が「してやったり」と思わせるような、打突の好機を自然に作る「打たせ上手」も指導者としての大切な業である.
※日本剣道形の元立ちのように、仕立ちの気位、技ともに引き出す器量を持つ.一方、気緩み、気抜きに対しては厳しく咎め、攻め入る愛情が求められる.
§6「裏 筋」訓練法
竹刀操作時の腕筋は、外側筋(ウワスジ)でなく内側筋(ウラスジ)を使えば刃筋が正しくなり、茶巾絞り、俊敏な連続打突動作も可能になる.
先ず、次のような訓練用具を2本準備する.
1)長さは、小木刀程度
2)重さは、片手で振り続けて余り負担を感じない程度
この握りやすく、振りやすい用具を左右の手に別々に、竹刀握りの要領で小指薬指で軽く握る.そして水平方向に平行に手を伸ばして構え、
1)右手は右斜め上に、左手は左斜め上に若干同じ方向(右手は右方向、左手は左方向)に捻りながら最大の円弧を描いて振り上げる
2)振り下げは、逆の動作・ルートを辿る
左右交互にこの動作を繰り返す.慣れたら竹刀を持ったイメージで、右手を前上に、左手を手前下の垂直上下にして1)、2)の動作を繰り返す.
この訓練を行うと裏筋利用の感覚が把握でき、また、裏筋の訓練になる.竹刀の素振り時には、両手を前述の独立したイメージで振り上げ振り下げを行うことにより、裏筋を使った素振り練習が得られる.
※“剣道は老人の健康の元、その一つは横隔膜の活性化にあり”といわれているが、裏筋利用の素振り法でこのことが体感できる.
§7「打たれずして攻めて打つ」攻撃法
理論的には、中心を確保しておけば、相面打ちの場合でも相手の竹刀は中心から逸れ、こちらの面には当たらない.従って、「打たれずして攻めて打つ」ための「先々の先」の獲得には、絶対的な中心確保が有効な手段の一つになる.
1)基本通りの中段でしっかりと構え、気を緩めずに相手を注意深く観察する.裏に表にと竹刀に触れる相手には、構えを下段気味にして相手の調子を外す.
2)正対した竹刀接触(交剣)状態から、竹刀半分だけ左方向に排除する気持ちで、攻め入りの瞬間のみ両手を左方向に平行移動させ、その後、両手は攻め入りに従って中心に戻す.
※この動作は、急に「くさび」を打ち込まれて中心を取られたような一瞬の怯みを相手に与えるので、楽に絶対的中心確保ができ打突の好機が得られる.
3)剣先を喉元に付けながら面に延びる.
※
動作開始までは、常に中心を外さない攻めの気構え竹刀構えと、打突の色を見せず攻めに動じない態度を持続することが大切.
※
動作開始時に出端面を狙われたら、抜き胴か、間に合わなければ胸か喉に剣先を付ける.中心を取っているのでこの所作は容易である.
※
「鎬を削る」要領での中心外し方法は、相手も同様な所作や返しで反撃されやすい.
終わりに
この書は、多数の高段者からお教え頂いたノウハウと、自ら研究した内容を混交して記述した.この書が所期目的の手引きになれば幸いです.ご教示頂いた方々に厚くお礼を申し上げます.
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※剣紫堂HPへの本書ご掲載にあたり
(http://www.gem.kurume-nct.ac.jp/kidera/index.html)
剣道における円滑な四肢の動作に関しては、現代の歩走法に基づく体バランスの視点からこの書を著した.これは、四十路過半から三十数年振りに剣道を再開した著者が、自己の不器用な所作の早期脱皮を図るために仮説を立て、その実践を通して理論化したものである.この方法は日常所作の延長線で修得できるために、特に成人から始めた悩める剣道愛好家の手引きになればと著作した次第である.
一方、日本剣道形の所作は「なんば」が基本である.この方法は他のスポーツでも.例えばバスケットのシュート,相撲のおっつけ、テニス,バトミントンのショット等多々認められる.「なんば」を考察すると、結論的には“目的に応じた、最大瞬発力を発現できる体軸と四肢の運用法”に思える.この点からも、刀剣をイメージした剣道を目指すためには「なんば」が重要であるが、円滑な所作に至るまでには遠大な道程を覚える.幸い、木寺先生の近隣都市に居住しているので、今後は先生のご指導を仰ぎつつ「なんば」に親しんでいきたいと考えている次第である.