股関節
 常歩(なみあし)による剣道で、最も大切なのは股関節の機能です。これまで剣道で股関節についてその重要性ついて語られたことはほとんどありません。膝・足関節(足首)についてはよく耳にしますが、股関節についてはほとんど聞きません。私達は動作をするときに股関節についてはその動きや力を感じにくいのです。
 
 しかし、体幹に最も近く、直接動きを伝えることができるのは股関節です。常歩(なみあし)の左右軸は左右の股関節を基準にします。

 さて、ここで皆さんに質問をします。股関節とはどこでしょう。ご自分の股関節を指差してください。股関節の位置を多くの方が誤解しています。多くの方は、両足の内側の付け根あたりを股関節と感じています。
 股関節は、大腿骨の先端の球状の関節です。自分のお尻の斜め後を触っていくと、すこしへこんだ位置があります。その少し奥が股関節です。ですから、股関節を感覚するときにはお尻の後ろ側を意識したほうがいいようです。

 それでは、股関節の柔軟性を高める運動を紹介していきましょう。

 まず、座って開脚します。それほど無理をしないでも結構です。膝は曲がってもかまいません。その姿勢で股関節を外旋・内旋させます。この動作を繰り返しましょう。
 
 足の親指側が地面につくように動かすことを内旋(左)、小指側がつくように動かすことを外旋といいます。この内外旋を繰り返しましょう。最初は難しいかも知れませんが、この動きが常歩(なみあし)の基礎です。

 開脚が苦手な人は、膝を立てて両脚を左右に倒す運動もおすすめです。
 股関節が徐々に柔らかくなり、内外旋ができるようになったら、開脚して上体を前傾させてみましょう。 

 開脚の角度と前傾の度合いが、股関節柔軟性の目安となります。

 無理をせず徐々に柔軟性を増していきましょう。
 次に開脚姿勢から、体幹を左右に平行移動させてみましょう。この動きは、股関節の柔軟性がないと難しいかもしれません。腕を水平に伸ばして、なるべく両肩のラインが水平を保持して左右へ上体を移動させます。この体幹が平行移動する動きは、常歩(なみあし)の動きを獲得するためにどうしても必要な動きです。
 左右に体幹を平行移動させるときに、最初は体幹全体が左右へ傾いてしまいます。できれば、鏡などの前でゆっくり動きを作るといいと思います。体幹が左右の股関節へ乗るようになると、剣道の二軸の構えができるようになります。 

 さらに、うさぎ跳びやアヒル歩きにも挑戦してみましょう。常歩研究会ではこれらの訓練法に注目しています。うさぎ跳びは、普通は膝関節を伸展(伸びる)させることによって上に飛び上がって前に進みます。そうではなく、下腿を倒して進みます。つまり、膝の位置が地面に近づくようにして進みます。この方法ですと、膝の伸展を使わずに膝の抜きで身体を進めることができます。最初は膝に手をつくといいでしょう。

 アヒル歩きも同様です。体重の乗ったほうの膝を地面に近づけながら進みます。現在では効果がなく障害の原因となるとされているこれらの伝統的訓練も、方法を誤らなければ二軸動作を身につけるとても効果的な運動になるようです。